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文献詳細

雑誌文献

精神医学27巻7号

1985年07月発行

文献概要

研究と報告

脳挫傷後にみられたKlüver-Bucy症候群の1例

著者: 高木洲一郎1 鹿島晴雄1 吉田直子2 平井秀幸3

所属機関: 1慶応義塾大学精神神経科学教室 2横浜市立市民病院 3済生会神奈川県病院脳外科

ページ範囲:P.817 - P.822

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 抄録 症例は受傷時年齢53歳の男性。脳挫傷後重篤な意識障害から回復するとともに興味ある精神症状がみられた。通過症候群としてKlüver-Bucy症候群とコルサコフ症候群を呈し,Klüver-Bucy症候群のうちhypermetamorphosis,oral tendency,hypersexualityなどは数日間で消失したが,情動の変化や食習慣の変化は後遺症として残った。このほか嗅覚脱失,左耳側下1/4盲,一過性の左側不全麻痺,インポテンツなどの神経症状および一過性の健忘失語を疑わせる言語障害,性格変化,話の迂遠,軽度記銘力障害などの精神症状をみとめた。
 本邦ではこれまで脳挫傷による本症候群の報告例はない。欧米の文献例5例を加え,脳挫傷後のKlüver-Bucy症候群の検討を中心に考察した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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