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研究と報告
右側海馬腫瘍により記憶障害を示した1例
著者: 倉元涼子1 宮川太平1
所属機関: 1熊本大学医学部神経精神科
ページ範囲:P.831 - P.834
文献購入ページに移動 抄録 37歳,男性。てんかんの鈎回発作で始まり,4年後に記銘・記億障害が出現したものである。原因は右側の海馬の腫瘍であった。現在まで一側性の海馬の障害では症状の発現はほとんど認められないとされてきた。しかし,本症例では一側の障害によって記銘・記憶力の障害が発現したことが注目された。このことから,一側の海馬の障害によっても症状が発現するか,あるいは一側優位が存在するのではないかと考えられた。
ヒトの海馬に原発する腫瘍例は稀であることから本症例は辺縁系における記銘・記憶の機能を考える上で貴重な症例と思われた。
ヒトの海馬に原発する腫瘍例は稀であることから本症例は辺縁系における記銘・記憶の機能を考える上で貴重な症例と思われた。
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