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文献詳細

雑誌文献

精神医学27巻7号

1985年07月発行

短報

Pentoxifyllineが奏効した一自閉症患者における治療前後のP300の比較

著者: 太田昌孝1 山崎清之1 丹羽真一1

所属機関: 1東京大学医学部精神医学教室

ページ範囲:P.848 - P.851

文献概要

I.はじめに
 pentoxifyllineが小児自閉症の症状改善に有効であり,安全であるという報告がなされている5,6)。pentoxifyllineはキサンチン誘導体で,末梢循環改善作用を示し,中枢神経系においても微小循環改善による血流量増加作用があると考えられていて,脳血管障害の治療などに既に用いられている。しかし,小児自閉症に有効である場合の薬理学的機序はまだ明らかではない。われわれもpentoxifyllineが奏効した複数の小児自閉症患者を経験しているが,自閉症の薬物療法の発展のためにも治療の集積が必要であろう。
 本薬剤の検定の場合に限らず,小児自閉症など患者自身による自覚症状の変化の報告にもとづく治療効果の判定が困難な場合特に,治験の結果の信頼性を向上させる工夫として,客観性のある行動評価尺度の開発と利用5)のほか,なんらかの客観的な検査所見の利用が考えられている。本薬剤について検査所見の利用の例としては脳波解析を用いた薬効評価2,7)がある。われれれは事象関連電位(特にP300成分)の利用を検討し,1例について試行した結果,症状の改善にともなってP300成分の著明な増大を認め,事象関連電位の測定が薬効評価に有用である可能性が示唆されたので,ここにその経験を報告する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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