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文献詳細

雑誌文献

精神医学27巻8号

1985年08月発行

研究と報告

精神科初診時診断の不変性

著者: 高橋三郎1 花田耕一1

所属機関: 1滋賀医科大学精神医学講座

ページ範囲:P.879 - P.887

文献概要

 1980年10月より1983年9月までの3年間に精神科病棟に入院した全患者289名を一定の方式で面接しDSM-IIIによる診断を行った。診断の分布はDSM-IIIの全分類にわたり偏りの少い対象であった。外来初診時,入院時,退院時各診断間の一致率を調べた。とくに退院時診断に対する外来初診時の診断一致率を精神科診断における妥当性を代表する値と考えたが,その値は大分類(クラス)については73%,細分類(カテゴリー)については41%であった。一致率の高いものは,小児思春期の障害,物質常用障害,精神分裂性障害,感情障害であり,低いものは適応障害,妄想性障害,不安障害などである。精神科の2大疾患ではこの値は80%と高いが,逆にそれは,外来初診時診断で約20%の偽陽性を含むことになる。病型分類は30%台の一致率で問題が多い。診断信頼性係数(K)は全体で,外来初診時—退院時診断間で0.60であった。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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