文献詳細
文献概要
研究と報告
熱性けいれんの疫学的遺伝学的研究
著者: 坪井孝幸1
所属機関: 1東京都神経科学総合研究所遺伝学研究室
ページ範囲:P.889 - P.898
文献購入ページに移動 抄録一定地域居住の全3歳児17,044名をしらべ,熱性けいれんの既往が1,406名(8.2%)に認められた(男児9.0%>女児7.5%,P<0.001)。遺伝負因が34%に認められ,遺伝負因をもつものは8〜16カ月で発症する,外的要因をもつ,熱発の程度が低い,熱性けいれんの反復回数が多い,3歳以後の再発が多いという特徴をもつ。近親者における罹病率は父12.2%,母11.4%,兄弟26.4%,姉妹22.2%(1親等合計16.2%),おじ・おば(2親等)4.0%,いとこ(3親等)4.1%であった。おじ・おば,いとこにこおける罹病率は両親とも罹病のばあい>片親罹病のばあい>両親とも健康のばあいの順となる。同胞の罹病率は母罹病のばあいが父罹病のばあいより高く,おじ・おばおよびいとこにおける罹病率は母方>父方であった。発端者と同胞の症状のうち,初発月齢.外的要因,熱発の程度の類似が示された。熱性けいれんの遺伝形式として,多因子遺伝の可能性が示唆され,遺伝率は75%と推定された。
掲載誌情報