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文献詳細

雑誌文献

精神医学27巻8号

1985年08月発行

文献概要

研究と報告

Anorexia nervosaの死亡例の検討

著者: 高木洲一郎1 村田佳應1 光宗勝繁2 片山義郎1 浅井昌弘1 保崎秀夫1

所属機関: 1慶応義塾大学医学部精神神経科学教室 2社会保険埼玉中央病院神経科

ページ範囲:P.899 - P.906

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 Anorexia nervosaの死亡例5例を報告し,文献的考察を加えた。5例中4例は思春期以外の女性例ないし男性例で,非定型例が多い。発症年齢は平均22.6歳と一般よりやや遅く,受診までの期間も著しく長い。これは病態に対する認識の極端な欠如と治療抵抗性を示唆する。死因は飢餓死2例,低血糖,自殺,不明が各1例である。死亡時体重は20〜27kgでやせは高度である。2例が剖検され,全身諸臓器の萎縮をみとめた。2例が死亡寸前の入院で,早期発見および治療者の適切な対応が必要である。重症例では入院治療によりまず積極的に栄養状態の改善をはかる必要がある。やせの希求自体高じれば一種の自殺行為であり,自殺にも留意すべきである。また本症の一人暮しは危険である。死因について記載のある文献例69例を加えて検討した。飢餓死,代謝障害,循環障害など栄養障害が死因の51%を占める。低血糖や感染症の合併にも留意すべきである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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