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文献詳細

雑誌文献

精神医学27巻8号

1985年08月発行

文献概要

研究と報告

心因性尿閉の3例

著者: 小俣和一郎1 福井準之助2

所属機関: 1北信総合病院精神神経科 2北信総合病院泌尿器科

ページ範囲:P.923 - P.926

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 抄録 泌尿器科学的には器質的病変をみないにもかかわらず持続的な尿閉を来し,それに基づく二次的身体症状を呈するいわゆる心因性尿閉の3症例を記載し,各症例毎に泌尿器科学的諸検査の結果を記述し,次いで精神病理学的考察を加えた。第1例は内因性うつ病に伴う部分的身体症状として尿閉を呈したものと考えられ,4環抗うつ剤を主剤とした薬物療法が有効であった。第2例に認められた尿閉はヒステリー性の転換症状と考えられ,被暗示性の高い性格を利用し自律訓練法を習得させることによって著効をみた。第3例の尿閉は無力型分裂気質者の慢性心身症症状と思われ,治療への動機づけが乏しいことから精神科的治療には長期間を要すると予想された。尿閉という同一の心身症症状を呈する症例にも精神病理学的には種々の病態の関与が考えられることから,いわゆる心因性尿閉を単一の疾患とみることはできず,各々の症例に即した有効な治療方法が選択されるべきものと思われた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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