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文献詳細

雑誌文献

精神医学27巻9号

1985年09月発行

文献概要

研究と報告

躁うつ病の予後に及ぼす治療状況因子の分析—治療終結との関連

著者: 藤原豊1 図子義文2 片山かほる3 山田了士4 原田俊樹1 柏原健一5 堀井茂男1 大月三郎1

所属機関: 1岡山大学医学部神経精神医学教室 2三船病院 3神戸西市民病院 4広島市民病院神経科 5高知県立中央病院神経科

ページ範囲:P.1037 - P.1042

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 抄録 躁うつ病の寛解後に治療終結を行なう際の適確性を検討する目的で,長期の予後状況と種々の因子との関係を調査した。岡山大学精神神経科に昭和39年から48年までの10年間にうつまたは躁状態で入院した295名を対象として抽出し,アンケート調査の後,回答例86名についてカルテによる調査を行なった。次の病相までの治療状況によって,継続,中断,終了の3群に分類したQ継続例は,遺伝負因が多く,再発を繰り返していた。中断例は,女性に多く,すべて6カ月以内に中断し,早期再発が多かった。終了例は,すべて完全寛解例で,再発が少なく,寛解期が長かった。躁うつ病では治療終結時期を誤まると,病相の不安定化や治療への依存状態を招く。今回の結果で,6カ月以内の中断や早期再発が多いことから,完全寛解例では少なくとも6カ月程度の経過観察の後に治療終結すべきであり,その際,遺伝負因のある例や女性例では注意が必要であると考察した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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