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文献概要

研究と報告

選択反応課題における分裂病患者反応時間とP300潜時—適応形相関フィルタを用いた1試行毎のP300成分の推定

著者: 平松謙一1 秋本優1 丹羽真一1 亀山知道1 斎藤治1 福田正人1 山崎清之1

所属機関: 1東京大学医学部精神医学教室

ページ範囲:P.1055 - P.1063

 抄録 分裂病患者の反応時間(RT)の遅れが情報処理のどの過程の障害によるものかを,適応形相関フィルタ(ACF)を用いて1試行毎のP300潜時を推定し,検討した。対象は20代と30代の男性分裂病患者9名,男性正常者9名。刺激は970Hz(17%),1,030Hz(17%),1,000Hz(66%)の純音で,低頻度刺激の一方を目標として反応させた。脳波はPzから単極導入した。両群の課題遂行成績はほぼ等しかった。刺激同期加算波形のP300振幅は分裂病群で減衰していた。分裂病群ではACFによるP300成分の推定が不良な試行が増加していた。ACFによるP300成分の推定が十分良好な試行では,P300潜時は両群でほぼ等しく,分裂病群のRTは約90ミリ秒延長していた。RTとP300潜時の相関は分裂病群で低下していた。以上の結果から,分裂病ではCognitive ProcessとBehavior ProcessのDccouplingの存在,すなわち,二つのProcessを統制しているOrganizing Systemの障害が示唆された。

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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