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文献詳細

雑誌文献

精神医学27巻9号

1985年09月発行

文献概要

研究と報告

右後大脳動脈領域脳梗塞による左半側空間失認の1症例—臨床経過と133Xeを用いたSPECTの所見を中心に

著者: 小田垣雄二12 岡五百理13 今裕14 浅野裕1

所属機関: 1市立室蘭総合病院祝津分院 2現 北海道大学医学部精神医学教室 3現 啓生会病院 4現 三愛病院

ページ範囲:P.1065 - P.1073

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 抄録 69歳の右利き男性で,右後大脳動脈領域の梗塞により左半側空間失認をはじめ,軽度の痴呆,地誌的概念の喪失,系列言語の障害,計算障害などの多彩な神経心理学的症状を呈した1症例に,133Xeを用いたSPECTを施行した。CTでは,右後頭葉と右視床後外側部,内包後脚の一部に低吸収域が限局していたが,SPECTでは,さらに広範な領域で局所脳血流量の低下を認め,従来左半側空間失認の責任病巣とされてきた右頭頂-側頭-後頭葉接合部を含んでいた。
 これまでの報告に関する文献的考察から,本症例の左半側空間失認の責任病巣として,1)右後頭葉内側面,2)右視床,3)右内包後脚,4)右頭頂-側頭-後頭葉接合部が考えられたが,SPECTの結果および臨床経過から,右頭頂-側頭-後頭葉接合部の機能低下によるものと考察した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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