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短報
抗精神病薬による薬原性乳漏症の発症条件の検討—数量化理論を利用して
著者: 津田彰1 西川正2 古賀五之2 内田又功2
所属機関: 1久留米大学医学部薬理学教室 2医療法人清和会西川病院
ページ範囲:P.1089 - P.1092
文献購入ページに移動近年,より選択的な中枢ドーパミン受容体の阻害薬が種々開発されるようになってきた3,10)。これに伴い,精神分裂病(以下,分裂病)に対する薬物療法はたんに鎮静を目的とする対症療法から,より本質的な治療効果をねらった療法へと大きな変質を遂げつつある6,8)。と同時に,抗精神病薬の長期投薬による重篤な副作用(遅発性ジスキネジーや悪性症候群など)の問題が顕在化している5,7)。とりわけ,中枢ドーパミンD2受容体の阻害薬であるとされるベンザマイド系に属するsulpirideは過鎮静などの行動毒性が少なく,抗精神病薬として大量療法に適するが4),男性では陰縮,インポテンソ,射精不全9),一方女性では,無月経や乳漏症などの内分泌系の異常を生じることが知られている1)。
ところで乳漏症(galactorrhea)に関しては,ひとたびこれが発症すれば,治療がきわめて困難な場合もある。そこで今回,sulpirideを長期服用している分裂病女性患者を対象にして,どのような特性を有する患者が乳漏症の副作用を呈し易いのか,林の数量化理論2類と3類2)を用いることで,その発症に関連の有る要因の抽出を試みた。
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