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文献詳細

雑誌文献

精神医学28巻1号

1986年01月発行

研究と報告

発病後22年間を経て精神分裂病様状態を呈したモヤモヤ病の1例

著者: 小河原龍太郎1 中村忠男1

所属機関: 1諏訪湖畔病院精神科

ページ範囲:P.47 - P.54

文献概要

 抄録 対話性幻聴,させられ体験を主訴に訪れた27歳の女子患者に固定した神経症状をみたため,詳しい病歴の聴取および脳血管写,CTを行って,典型的な若年型モヤモヤ病患者であることを確定した。患者は4歳の時に発熱と右上下肢麻痺で発病し精神遅滞を残したが,その後22年間,発作の反復なく精神的にも安定して経過していた。状態像の吟味により精神分裂病の合併ではなく,慢性脳器質性患者の呈する分裂病様状態であると判断した。また,生活史の検討をできるだけ詳しく行い,精神症状発現の要因として,脳自体の病変のほかに,長期間にわたる孤独状況があり,心理的要因として《人並みでない》という内的心理葛藤が重要な要因として判明した。このことから,脳器質性患者の治療にあたって,心身の相関関係を十分に考えて治療してゆくことの重要性を指摘した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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