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文献詳細

雑誌文献

精神医学28巻1号

1986年01月発行

文献概要

研究と報告

他人の話し言葉を聴くことを主な誘因とするてんかんの1症例

著者: 高橋幸男12 土谷隆3 菅原輝男3

所属機関: 1隠岐病院 2鳥取大学医学部神経精神医学教室 3岩手県立南光病院

ページ範囲:P.81 - P.89

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 抄録 他人の話し声を聴くことが主要な誘因であるが,話すことや書くこと,稀には暗算も誘因となるてんかんの1例(39歳,女,右手利き)を経験し,その臨床・脳波所見について報告した。
 種々の聴覚刺激を行なったが,特に言語刺激によって明らかな発作波と臨床発作が誘発された。誘因となる声は,周囲の誰の声でもよく,単音よりは単語や句,さらに会話形式で直接患者に話しかけた時が最も明瞭な発作と発作波の誘発をみた。このことから誘因としては,「声」よりも「言葉」を聴くことが重要と思われた。さらに注意の集中,情動,精神的緊張なども発作波の賦活に影響することが示された。誘発された発作波は,左前頭・中心部優位の両側性棘・徐波複合で,容易に全般化した。言語刺激から発作波までの潜時は平均約580msecであった。発作波に対応し右口角部のミオクロニーを認めた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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