文献詳細
短報
妊娠中の分裂病者への向精神薬使用について
著者: 須賀良一1 三浦まゆみ1 八幡剛喜1 鈴木孝明2 湯沢秀夫2
所属機関: 1新潟大学医学部精神科 2新潟大学医学部産婦人科
ページ範囲:P.101 - P.103
文献概要
近年の向精神薬の使用は分裂病の軽症化をもたらし,女性患者の結婚・妊娠・出産の機会を増加させたように思われる。しかし,女性分裂病者の妊娠・出産に際しては,分裂病の遺伝,妊娠・出産が分裂病に与える影響,向精神薬が胎児に与える影響などに関するいくつかの問題点があり,分裂病者の妊娠に直面した医師はその対応に苦慮することが多いものと推測される。医師の対応の中で最も問題となるのは,現在使用している向精神薬をどうするかという点と思われる。一般的には妊娠中は向精神薬を使用しない方が良いという程度の認識しかなく,妊娠中の投薬の是非についてはあまり考察されていない。そこで新潟大学精神科で治療中に妊娠し,新大産科で出産した5例を経験したので,これらの症例を足がかりとして妊娠中の分裂病者への向精神薬使用の問題を考察してみたい。
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