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文献詳細

雑誌文献

精神医学28巻10号

1986年10月発行

研究と報告

脳器質性精神病の病像変遷—進行麻痺の場合

著者: 岩舘敏晴1 石井厚1

所属機関: 1東北大学医学部神経精神科

ページ範囲:P.1119 - P.1126

文献概要

 抄録 身体に基礎づけられる精神病の中から進行麻痺を選んで病像変遷を調査した。
 治療と経過が病像に及ぼす影響を排除してもなお,痴呆型の増加と誇大型の減少が認められた。これはMendelら多くの報告と一致する。戦後の一時期,逆行的な現象がみられたが,これは誇大型進行麻痺患者の受診が相対的に高まったためと推察される。
 進行麻痺の病像変遷を分裂病の病像変遷と比較すると,進行麻痺では分裂病の場合と異なり,「時代精神」といったものを反映するような変遷は認められなかった。これは進行麻痺が分裂病に比し,身体因によってより規定される疾病であるからと考えることができる。しかし一方,Treponema pallidumという同一の原因から生じ,疾患単位のモデルとなった進行麻痺にも,時代による病像変遷があることも確かめられた。
 以上の結果について病塑性(Pathoplastique)の観点から考察を試みた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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