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文献詳細

雑誌文献

精神医学28巻10号

1986年10月発行

研究と報告

精神障害の頻度と生まれ月—滋賀県患者人口による分析

著者: 高橋三郎1 金井秀子2 三浦悌二3 野中浩一3

所属機関: 1滋賀医科大学精神医学 2京都教育大学 3帝京大学医学部衛生学

ページ範囲:P.1163 - P.1172

文献概要

 抄録 1980〜84年に滋賀医科大学附属病院外来を受診した患者の中で,DSM-Ⅲ診断記入のある成人主要6疾患の患者1,779名につき,生まれ月と年齢を調べた。滋賀県人口動態統計から1901〜80年生まれを対照群として,各疾患群毎に月別出生数(O)と,その年齢構成に従って対照群月別出生数から計算した期待値(E)からO/E比を算出しその季節変動を検討した。
 精神分裂病では冬生まれが,大うつ病単一エピソード,大うつ病反復性では夏生まれが多いが,いずれも有意の差はない。双極性障害では1〜3月生まれが多く,神経症群,適応障害,心身症では夏・秋生まれが多く,有意の差を認める。戦前生まれより戦後生まれに頻度のピークが早くなる傾向が,大多数の疾患群で認められた。精神障害の頻度の生まれ月による偏りは,何か周産期に関係した生物学的要因が存在することを示唆している。この他,この問題に関する多数の報告を検討し,提示されている仮説について総説した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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