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文献詳細

雑誌文献

精神医学28巻11号

1986年11月発行

文献概要

研究と報告

わが国におけるヒステリー診断の特徴と新診断基準の作成

著者: 中村道彦1 高橋三郎1 山下格2 岩崎徹也3 小口徹4 高橋徹5

所属機関: 1滋賀医科大学精神医学教室 2北海道大学医学部精神医学教室 3東海大学医学部精神医学教室 4北里大学医学部精神医学教室 5国立精神衛生研究所

ページ範囲:P.1219 - P.1228

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 抄録 「ヒステリー性障害」診断基準案を全国の精神科12施設の伝統的なヒステリー患者103例に適用した。わが国におけるヒステリーの臨床的特徴として,①女性例は男性例の約4倍,②若年例は心理的社会的ストレス因に対する環境反応的な特色を,高年例ではストレス因のない人格反応的な特色と遷延化傾向を示した,③ヒステリーとヒステリー性格の関係は約30%に認めた,④転換症状が中軸であり,幻覚・妄想以外の解離・精神病症状が単独に出現することは稀であった。
 以上の臨床特徴から診断基準を作成し,①現象学的包含基準と除外基準(身体疾患,心身症,他の精神神経障害)で「ヒステリー性障害」を診断,②疾病利得に関する包含基準と除外基準(加重と虚言)によって「ヒステリア」と名づける中核例を診断する。これらの改訂を行った時の各基準の有無による診断の感度と特異性の差から,現象的基準のみの適用が普遍性を持つことを示した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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