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文献詳細

雑誌文献

精神医学28巻11号

1986年11月発行

研究と報告

コカイン依存の1例

著者: 斎藤惇1 永野潔1 奥平健一1 黒滝淳一1 吉田芳子2

所属機関: 1神奈川県立せりがや園 2北里大学医学部公衆衛生学教室

ページ範囲:P.1263 - P.1267

文献概要

 抄録 コカイン依存の1例を報告した。28歳の女性。24歳の時コカインとは知らず経口的に摂取し,その2カ月後コカインと知って初めて経鼻的に吸引した。コカイン摂取の際,多幸感,意欲や性欲の昂進などが起こった。幻視があったが,恐怖感はなかった。初めてコカインを使用して約4年目に,比較的大量のコカインを手に入れた。このコカインを連日吸引するようになり,最後には,約4日間強迫的連続摂取状態となってしまった。この間に,強い恐怖感を伴う幻視を体験し,興奮状態となって入院した。入院後,過眠期,過食期,躁うつ期を経て安定し退院した。
 コカインの薬理作用は,各種中枢神経刺激剤と同様であり,本例の示した症状も,覚せい剤依存の患者が示す臨床症状に類似していた。又,コカインの乱用が世界的に増加していることから,本邦においてもコカインの乱用が拡がる危険があることを指摘した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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