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文献詳細

雑誌文献

精神医学28巻12号

1986年12月発行

展望

仮性痴呆

著者: 山本博一1 渡辺昌祐1

所属機関: 1川崎医科大学精神科学教室

ページ範囲:P.1330 - P.1338

文献概要

I.はじめに
 仮性痴呆とは機能性精神疾患に基づいた可逆性の痴呆様状態である。近年,仮性痴呆に対する関心が高まってきているが,仮性痴呆の概念は,必ずしも一致したものではなく,種々の混乱がみられる。例えば,もっぱらうつ病における痴呆様状態を指して真性痴呆から鑑別することに主眼を置くもの,あらゆる精神疾患における知的機能低下を扱うもの,Ganser状態としての仮性痴呆(偽痴呆),脳器質疾患に重畳した一部可逆性のうつ状態等,研究者により概念に相違が認められる。加えて,一次性痴呆における抑うつや意識障害との関連も問題になり,さらに複雑な様相を呈している。
 本稿では,仮性痴呆の概念を歴史的に概観して整理分類し,過去の文献を再検討して,現在の「仮性痴呆」研究の問題点と方向性,さらにはうつ病性仮性痴呆の治療指針について述べる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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