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文献概要

研究と報告

DSM-Ⅲ多軸評定の有用性—その2.過去1年間の適応機能の最高レベル(第5軸)の評定と多軸診断システムによる転帰予測

著者: 安屋敷和秀1 高橋三郎1 高橋清久1 花田耕一1 中村道彦1

所属機関: 1滋賀医科大学精神医学講座

ページ範囲:P.1339 - P.1347

 抄録 DSM-Ⅲ診断における第5軸の有用性を検討する目的で入院患者229例を用い,第5軸の診断別分布様式,性別,年齢,および第4軸,第5軸の評定と在院日数との関連性について,検討した。
 (1)過去1年間の社会適応レベルは精神病性障害,神経症圏,感情障害の順に高くなっていた。
 (2)精神分裂性障害の適応レベルは極めて低く,分裂病様障害はこれに比して高かった。
 (3)感情障害では,適応レベルが,双極感情障害,大うつ病反復性,大うつ病単一エピソードの順に高くなってゆき,この順序と同様にストレス因の頻度は,増加していた。
 (4)在院日数は精神分裂病妄想型では年齢に逆相関し,感情障害全般では,相関していた。双極感情障害では,第4軸,第5軸の評定を組み入れることで,重回帰式を用いて高い確率で在院日数を予測できた。大うつ病単一エピソードの在院日数は,第4勅との関連が強かった。

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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