研究と報告
電気入眠器(Sleepy)の不眠症に対する治療効果—2重盲検・交叉法による臨床治療試験
著者:
飯島壽佐美1
菱川泰夫1
杉田義郎2
手島愛雄2
所属機関:
1秋田大学医学部精神科学教室
2大阪大学医学部精神医学教室
ページ範囲:P.1369 - P.1375
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抄録 主として精神生理学的要因による持続性の不眠症の患者からなる慢性の不眠症の被験者56名について,電気入眠器「Sleepy」の治療効果を二重盲検・交叉法で検討した。実通電器と偽通電器をそれぞれ1週間ずつ自宅で使用させた期間の睡眠状態に関する自己評価の記録と,著者の面接と問診に基づいて,睡眠状態の改善度を判定した。検査を完了した27名から得られた成績について,分散分析による統計学的検討を加えた。実通電性の電気入眠器は,有意な全般性改善効果をもたらした。また,入眠潜時を短縮し,中途覚醒を軽減させ,熟眠感を増強することが明らかになった。電気入眠器の使用によっては著しい副作用の出現はみられなかった。
今回の臨床治験に用いた電気入眠器は,精神生理学的要因による持続性の不眠症に対して有効であるだけではなく,入眠障害を特徴とする他の原因による不眠症にも有効である可能性があると考えられた。