icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学28巻12号

1986年12月発行

紹介

1838年法(フランス精神病者法)の成立過程

著者: 菅原道哉1 飯塚博史1 岩成秀夫1

所属機関: 1神奈川県立芹香院

ページ範囲:P.1397 - P.1403

文献概要

I.まえがき
 ピネル神話はフランス革命の時代背景の中から生れてきた10)。1789年市民によるバスチーユ襲撃があり,その数カ月後に人権宣言が採択された。主権在民,法の前の平等,自由と財産所有の権利等を基本思想としたものであった7)。一方,精神障害者に関する法律はその内容のいかんによらず,1789年を溯っては見つからないという3)。種々の紆余曲折を経て1838年法(フランス精神病者法)が成立した。西欧各国における精神障害者に関する法律の成立年は「各国における精神病問題」(内務省衛生局,保健衛生調査室編纂1919)によれば次のようになっている。1837年ベルギー,1874年オーストリア,1883年スウェーデン,1884年オランダ,1885年スペイン,1888年デンマーク,1890年イギリス,1904年イタリアである。スイス,アメリカ合衆国は州ごとに成立年代が異なり,ドイツ,ロシアは地方ごとに年代がずれてはいるが,ほぼ同時期に成立している。
 これらの中で,フランスの1838年法は成立が早く,その基本的な考え方は現在でも生きているという特徴を持っている。その成立前後の時代背景4),成立過程に触れながら,その内容について述べてみたい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら