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古典紹介
—Gilbert Ballet—慢性幻覚精神病および人格の解体—第2回—
著者: 三村將1 濱田秀伯1
所属機関: 1慶応義塾大学医学部精神神経科学教室
ページ範囲:P.1405 - P.1414
文献購入ページに移動 前回の講義(1911)で私が主に示そうとしたのは,私には十分な根拠もなく分けられていたように思われるものが同一の病型にまとめ得るということでした。この病型に私は慢性幻覚精神病psychose hallucinatoire chroniqueという名称を提唱しましたが,この病型では通常まずはじめに苦しい体感状態état cénesthésiqueや漠然とした不全感が現れることを覚えておられると思います。これらのあるものはきわめて速く,あるものは速く,またあるものはゆっくりと,それを説明するような被害念慮idées de persécutionや誇大念慮idées d'ambitionに移行します。この二つの念慮自体も,ともに並んで進行したり,両者が連続したり,あるいは急速に,あるいはゆっくりと一方が他方にとってかわったりします。これらの念慮には常に様々な知覚の幻覚hallucinationが伴い,時には念慮に先行することもありますが,幻覚が常にあるということが条件になっていると思われます。
本日私が皆さんに今まで以上にはっきりとした形で示したいと思っているのは,慢性幻覚精神病を特徴づけるものが病初期から持続的に見られる人格の解体désagrégation initiale et persistance de la personnalitéであり,そのことが疾患の重篤さを説明するのに十分であるということです。
本日私が皆さんに今まで以上にはっきりとした形で示したいと思っているのは,慢性幻覚精神病を特徴づけるものが病初期から持続的に見られる人格の解体désagrégation initiale et persistance de la personnalitéであり,そのことが疾患の重篤さを説明するのに十分であるということです。
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