icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学28巻2号

1986年02月発行

文献概要

研究と報告

精神分裂病の難治性幻覚・妄想に対するNeuroleptics,Benzodiazepines大量投与について

著者: 佐藤豊1 高沢文四郎1

所属機関: 1医療法人碧水会汐ケ崎病院

ページ範囲:P.203 - P.211

文献購入ページに移動
 抄録 他剤無効の分裂病性幻覚妄想を呈する23例にneuroleptics,benzodiazepines(BZD)の併用大量投与を行い幻覚を示した患者の61.1%に有効性を認め,これら有効例では幻覚を再発させずにneuroleptics投与量をBZD併用前の1/2まで減量することができた。この有効性の発現機序としてはneurolepticsの抗dopamine作用に対するBZDの増強効果を推定したが,臨床的にこの増強効果は,難治性の異常体験を改善するのみならず,neuroleptics投与量を減量できることからneurolepticsが有する種々の致命的,不可逆的副作用の発現を回避する可能性が示唆された。BZD自体に帰すべき副作用としては筋弛緩作用に基づく運動機能障害が認められたがその重症度,発現頻度はBZDの種類によって異なり,これらのことから,筋弛緩作用の少ないBZDを用いれば他剤無効の分裂病性幻覚に対するneurolepticsとBZDの併用大量投与は有効かつ安全であると考えられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?