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文献詳細

雑誌文献

精神医学28巻2号

1986年02月発行

研究と報告

悪性症候群の治癒とともに軽快したCapgras症候群の1例

著者: 上野郁子1 松下恵美子1 大原健士郎1 川口才市2 川口計二2 奥山真司2 篠崎克已3

所属機関: 1浜松医科大学精神神経学教室 2神経科浜松病院 3県西部浜松医療センター呼吸器科

ページ範囲:P.213 - P.219

文献概要

 抄録 1923年,Capgras4)らが本症候群を報告して以来,多くの注目を集め,現在までに欧米国内で約133症例,本邦で約14症例の報告がなされている。診断名では,分裂病を主とする内因性精神病に分類されるものがほとんどてあったが,近年になり,器質的な疾患を背景とするものも報告されるようになり,最近ては,1982年,富岡17)らの単純ヘルベス脳炎に付随した症例,1985年浅見ら1)の側頭葉てんかんにおいて発症したものなどがある。
 今回われわれは,心因反応としてCapgras症候群を呈した1例を経験したが,その治癒機点として,①治療中,偶発的に起こった"悪性症候群"という身体的ストレスの関与,②身体的看護をとおして,患者をとりまく家族力動に変化が起こった,という2点が考えられた。Capgras症候群に悪性症候群が合併した珍しい症例であり,若干の文献的考察を加えここに報告する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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