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文献詳細

雑誌文献

精神医学28巻2号

1986年02月発行

文献概要

研究と報告

正常圧水頭症を伴った遷延性アルコールせん妄状態の2症例

著者: 長友医継1 亀井健二1 冨永秀文1 松本啓1 吉牟田直2

所属機関: 1鹿児島大学医学部神経精神医学教室 2松下病院

ページ範囲:P.221 - P.227

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 抄録 振戦せん妄状態が1カ月以上も遷延した老人の慢性アルコール中毒患者2症例を経験した。この2症例はともに20年以上の飲酒歴があり,数日間の飲酒中断の後,幻視や不穏状態を呈した。向精神薬治療はあまり効果を示さずせん妄状態が長期間続いた。これらの症例では,臨床症状,頭部CT所見などにより正常圧水頭症(NPH)の合併が判明し,脳室—腹腔内短絡術により失見当識やせん妄は消失し,記銘力や計算力も軽快した。したがって,老人の慢性アルコール中毒において,振戦せん妄が長期間遷延化する際には,加齢のみならずNPHの合併の可能性もあることを考慮する必要があると考える。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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