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文献詳細

雑誌文献

精神医学28巻3号

1986年03月発行

文献概要

研究と報告

てんかん患者および精神分裂病者にみられる追跡眼球運動障害の定量的自動解析

著者: 上埜高志1 富山俊治1 斎藤秀光1 姉歯秀平1 松岡洋夫1 松江克彦1 大熊輝雄1

所属機関: 1東北大学医学部精神医学教室

ページ範囲:P.289 - P.296

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 抄録 てんかん患者,精神分裂病者における滑動性追跡眼球運動smooth pursuit eyemovement(SPEM)を定量的自動解析法により観察し,SPEM中に出現する衝動性眼球運動の特性を明らかにした。てんかん群,分裂病群では正常群より有意にSPEM障害が多かった。衝動成分の振幅については分裂病者で視角3〜4°内の規則的な小振幅のものが重畳するのに対し,てんかん患者では小振幅のものの他に大振幅の衝動性眼球運動の混入が多く,また振幅のパラツキも大きかった。てんかん群では,分裂病群と比較して衝動性眼球運動の持続時間は長く,平均速度も速い傾向があった。衝動成分の平均開始点,平均終止点と視標との位置関係をみると,てんかん群では衝動性眼球運動の平均終止点が視標より大きく先行するovershootが特徴的で,眼球運動の調節機序の障害が明らかになった。さらにてんかん患者,分裂病老のSPEMで出現する衝動成分の発生機序について考察を加えた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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