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雑誌詳細

文献概要

研究と報告

精神疾患におけるTRHテストとデキサメサゾン抑制試験—感情障害におけるTRHテストの有用性

著者: 小森照久1 野村純一1 山口隆久1 井上桂1 北山功1 原田雅典1 蒔田一郎1 蒔田晶子1 岡野禎治1

所属機関: 1三重大学医学部精神神経科

ページ範囲:P.307 - P.313

 抄録 全入院患者を対象として,TRHテストとデキサメサゾン抑制試験(DST)を行い,メランコリーの診断に関する有用性を検討した。DSTの感度と特異性は,うつ病だけを対象にした場合には,それぞれ36%,100%であったが,全患者を対象にすると特異性が56%に低下した。その理由として,精神分裂性障害や痴呆でも,かなり高率にDSTの異常がみられることがあげられる。TRHテストについては,過大,過小,遅延の3反応を異常反応とすると,メランコリーの診断についての感度と特異性は,うつ病だけを対象にした場合には,それぞれ54%,100%であり,全患者を対象にしても特異性は72%であって,DSTよりも優れた結果が得られた。TRHテストの過小反応のみを異常とした場合には,特異性がやや上昇するものの感度は半減し,TRHテストの異常については過大反応や遅延反応も考慮に入れる必要がある。

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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