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文献詳細

雑誌文献

精神医学28巻3号

1986年03月発行

文献概要

研究と報告

診断の困難であった慢性ブロムワレリル尿素中毒—X線微小分析法(EDX)による体液中ブロム測定の臨床的応用

著者: 黒河泰夫1 深津亮1 高坂要一郎1 千葉達雄1 浅野裕2

所属機関: 1北海道大学医学部精神医学教室 2市立室蘭総合病院祝津分院

ページ範囲:P.315 - P.321

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 抄録 ブロムワレリル尿素は数10年前より睡眠導入剤として汎用され.中毒症状として幻覚ならびにせん妄状態などの精神症状,および各種神経症状を呈することが既に知られている。今回報告した慢性ブロム中毒の3症例は,入院時ブロムワレリル尿素服用歴を述べず,精神症状ならびに神経症状が多彩であるため,診断が困離であった症例である。
 各症例の血清,尿あるいは髄液について,ブロム検出のためのX線微小分析(エネルギー分散分光法,EDX)を行なった結果,血清と尿では明瞭な,髄液では痕跡程度のブロム元素のピークを認めた。本法のブロム検出感度は,ブロムカリ標準試料を調製し検討したところ,30μg/mlあった。ブロム中毒は数mg/ml以上の血清中濃度で生じるとされているので,EDXが稼働している施設であれば簡便かつ迅速にブロム元素の判定が可能であり,慢性ブロム中毒の有力な補助診断法となり得る。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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