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文献詳細

雑誌文献

精神医学28巻4号

1986年04月発行

文献概要

展望

認知機能に関連する事象関連電位(とくにP300)と精神科領域におけるその測定の価値(第1回)

著者: 亀山知道1 平松謙一1 斎藤治1

所属機関: 1東京大学医学部精神医学教室

ページ範囲:P.364 - P.378

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I.はじめに
 近年,認知障害が分裂病の基本障害であろうとする考えが強まっていることは周知の事実である(丹羽ら,198293);斉藤ら,1985135))。一方,実験心理学や精神生理学的アプローチは,分裂病のみならず躁うつ病においても認知障害が認められることを指摘している。したがって,日常の精神科臨床に携わるわれわれにとって,機能性精神病にみられる認知障害を客観的な指標を用いて把握することは,内因性精神病の病因論・治療論の発展の上で重要であると思われる。
 ところで,事象関連電位(Event-Related Potential,ERP)は生体の情報処理に伴って発生する電位であるが,このうち潜時が約100m秒以上の比較的遅い成分は選択的注意や認知機能を反映して変動することが知られている。これはERPのうち外的刺激から相対的に独立した内因性成分が選択的注意や認知機能を反映して変動するためと考えられる。この内因性成分のうち特にP300成分(ピーク潜時約300m秒で主に頭頂部優位に出現する陽性成分)は,正常者を対象とした多くの実験から認知機能との関連が指摘されており,さらに現在では分裂病や自閉症など精神疾患の認知機能障害を検討する手段として広く用いられるようになってきている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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