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文献詳細

雑誌文献

精神医学28巻4号

1986年04月発行

文献概要

研究と報告

「自己意識」からみた神経症とその周辺—各疾患の自己意識の特徴について

著者: 鍋田恭孝1 菅原健介2 宮岡等3 佐久間啓3

所属機関: 1宇都宮大学保健管理センター 2東京都立大学大学院人文科学研究科心理学研究室 3慶応大学医学部精神神経科学教室

ページ範囲:P.379 - P.386

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 抄録 自分を意識するということが各種の病態に深く関係しているであろうことは誰もが感じていることであろう。この点を,近年,社会心理学の分野で研究が進められている自己意識という概念で検討したのが当論交である。現在,自己意識には他者との関係性で意識される自己意識と,自分自身との関係性で意識される自己意識とに分けて考えたほうが良いとされてきている。そこで神経症およびその周辺の病態の者はこの両自己意識に関してどのような特微を示すものであるのかを調査した。その結果,平均的対人恐怖症,醜形恐怖症,摂食障害の者は他者との関係性においての自己意識が一般学生と比し有意に高く,摂食障害の者は自分自身との関係性で意識される自己意識が有意に低いという結果が得られた。その他の病態においても興味ある方向性が見出され,各種の病態の本質を考察する重要なデータが得られたと考える。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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