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文献詳細

雑誌文献

精神医学28巻4号

1986年04月発行

研究と報告

退行期精神病とvorzeitige Versagenszustände(Beringer und Mallison)

著者: 近藤重昭1

所属機関: 1公立角館総合病院精神科

ページ範囲:P.403 - P.411

文献概要

 抄録 臨床家の多くは,退行期(広義)に発症する精神病の診断に苦慮する。この時期の精神病状態のもつ,成因の多因子性,症状の多様性,不安定性などによるのであろう。退行期は単に成年期の延長ではなくて,成年期とは異なった,固有の生物学的基盤である老化と精神の退行,発展を意味している。精神病状態は,この期の心身の均衡,調整の破綻の表現である。退行期初発の機能性精神病を成人の精神病の遅発型とみなすとき,老化プロセスは,退行期に普遍的で,しかも非特異的であるゆえに,成因性は否定されてきた。1949年,Beringer und Mallisonによって提起されたvorzeitige Versagenszuständeは正常老化と病的老化の重合する中間例であるが,臨床作業概念としても重要な意義をもっている。著者はvorzeitige Versagenszuständeを退行期発症の精神病状態の公分母として理解し,これに諸因子の関与を仮定することによって,症候学的に類型化される様々な退行期精神病を統括してみたのである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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