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文献詳細

雑誌文献

精神医学28巻4号

1986年04月発行

動き

DSM-Ⅲ改訂版(DSM-Ⅲ-R)と第10改正国際疾病分類(ICD-10)の動向

著者: 高橋三郎1

所属機関: 1滋賀医科大学精神医学講座

ページ範囲:P.459 - P.468

文献概要

I.はじめに
 DSM-Ⅲは1980年春に発表され,わが国でも日常の臨床に次第に広く使われるようになった6)。APAでは1983年5月からDSM-Ⅲ改訂版(DSM-Ⅲ-R)編集の作業にとりかかり,1984年,20の小委員会を任命し,1985年6月にDMS-Ⅲ-R DRAFTが完成した。これを用いて9月より1年間,実際の症例に適用する臨床試行を行い,1987年のはじめに出版する予定であるという。
 一方,ICD-10のほうはWHOで討議が行われているが,1992〜93年に出されると予想され,1977年にICD-9が出て以来その改訂までの15〜16年の中間点でDSM-Ⅲ-Rが出されることになる。
 DSM-Ⅲ-Rの編集責任者Spitzer, R. L. はゴールは臨床への有用性,信頼性,教育的有用性,適用性,ICD-9との対応,の5点であると強調するが,これらは疾病分類と診断のシステムを作り上げる上で自明のことである。編集の手続は4つのPhaseに分け,現在Phase 2が終わり,これからこの原案を多数の医師に提示してフィードバックしてもらうというPhase 3に入り,ここで全国的に700名参加による臨床試行が行われる。DSM-Ⅲ-RがDSM-Ⅲから改訂された点とその理由を考えてみることは,とりも直さず今日の精神科診断システムの本質に触れる問題であって興味深いところである。たまたま,1985年6月にモントリオールで開催されたWPAシンポジウムでDSM-Ⅲ-RとICD-10についての資料を入手したのでそれらの動向を紹介しよう1,5)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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