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雑誌詳細

文献概要

研究と報告

コルサコフ症状群を呈したSheehan症候群の1例

著者: 川勝忍1 矢崎光保1 十束支朗1 菅原光弥2

所属機関: 1山形大学医学部精神神経医学教室 2南浜中央病院精神科

ページ範囲:P.537 - P.543

 抄録 既往に人工妊娠中絶,流・死産を繰り返し,38歳で人工妊娠中絶後,無月経になり,4年を経て,意欲低下・抑うつ,不活発などの内分泌精神症状群や記銘力低下が出現し,あわせて恥毛,腋下毛の脱落,全身倦怠,多飲・多尿などの身体症状を伴う47歳の女性例を経験し,Sheehan症候群と診断した。とくに精神症状として,人物誤認,作話,見当識障害,記銘力障害が顕著にみられ,コルサコフ症状群と考えられた。また,これらの症状はホルモン補充療法によっても改善がみられず,長期間持続しており,脳器質性障害が示唆された。また,諸検査の結果,下垂体前葉機能不全だけでなく,尿崩症や高プロラクチン血症など,視床下部—下垂体系の障害もみられた。Sheehan症候群では,ホルモン補充療法が奏効するため,早期に診断することが必要であると思われた。

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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