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文献詳細

雑誌文献

精神医学28巻5号

1986年05月発行

文献概要

研究と報告

慢性Diphenylhydantoin中毒によると考えられる小脳萎縮の1剖検例

著者: 守田耕太郎1 近藤重昭2 湊浩一郎3 飛沢壮介4 武田憲明1 上松正幸1 田村友一1 貝谷壽宣1 難波益之1

所属機関: 1岐阜大学医学部神経精神医学教室 2角舘公立病院精神神経科 3秋田市立病院精神科 4二本松会上山病院

ページ範囲:P.545 - P.551

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 抄録 本例は25歳から全身けいれん発作を生じ,27年間に渡りDPH(0.15〜0.45),PB(0.1〜0.15)を主とする抗てんかん薬を服用していた精神遅滞者にみられた小脳萎縮症である。小脳症状,傾眠,昏迷などの急性DPH中毒症状と思われるエピソードを33歳(DPH 0.3,5.6mg/kg),34歳(DPH 0.35,6.7mg/kg),35歳(DPH 0.4,7.5mg/kg),36歳(DPH 0.45,8.5mg/kg)時に計4回繰り返した後に,3回目以降から非可逆的な失調性歩行障害を残した。神経病理学的所見は小脳プルキンエ細胞のび漫性脱落,leeres Korbの出現,ベルグマングリア増生,分子層,歯状核のグリオーゼ,下オリーブ核の神経細胞脱落,グリオーゼ,海馬錐体細胞のアルツハイマー原線維変化,帯状回,島部,線状体の浮腫であった。海馬の断血性変化,細胞脱落等がみられなかったことから本例をDPH中毒による小脳萎縮と考えた。小脳病変発生について神経病理学的,薬理学的な考察を加えた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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