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研究と報告
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抄録 昭和57〜60年の4年間に入院した患者にDSM-M多軸診断システムを適用し,非定型うつ病の診断が与えられた12例を得た。これらの特徴を見出すために,同期入院の大うつ病,反復性,26例を対照群に選び,これら2群間でのデータを比較検討した。その結果,非型定うつ病は大うつ病,反復性に比較し,1)第II軸診断で人格障害を伴うものが多い。2)症状数が少なく,軽症である。3)症状項目のうち制止,罪責感,思考力減退は,ほとんど認めない。4)エピソードの持続期間において非常に長いものが4例あり,全平均でも有意に延長している。5)予後は,社会的寛解を含めると75%になるが,完全寛解は僅か1例である。従って,この中には,定型うつ病と対比すべき特殊な一群が含まれていることが示唆された。
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