icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学28巻6号

1986年06月発行

文献概要

研究と報告

折れ線型経過をたどる自閉症児の臨床的特徴

著者: 星野仁彦1 渡部康1 横山富士男1 遠藤正俊1 金子元久1 八島祐子1 熊代永1

所属機関: 1福島県立医科大学神経精神科

ページ範囲:P.629 - P.640

文献購入ページに移動
 抄録 5歳以上の幼児自閉症80例を対象として,独自に作製した面接調査表に基づいて,折れ線型経過(Knick)の有無と自閉症児の既往歴,臨床症状,発達水準,適応状況等との関連性を調べ,Knickの有無による亜型分類の可能性について検討し,次の結果を得た。1)Knick群・疑Knick群は併せて39例(49%)あったのに対して,非Knick群は41例(51%)であった。2)Knickを示した年齢は平均21〜22カ月であった。3)Knick群・疑Knick群は非Knick群と比べて,5歳時の精神発達水準が有意に低値を示していた。4)Knick群・疑Knick群は,非Knick群と比べて,言語障害・対人関係障害などの症状がより重篤であった。5)てんかん発作・熱性けいれんなどのけいれん性疾患の既往や周産期異常の既往は,Knick群・疑Knick群でより高頻度に認められた。
 以上から,幼児自閉症はその発症パターンの差異により,折れ線型と非折れ線型の2群に亜型分類され得ることを示した。そして,これらは何らかの脳機能障害の程度の差異によって発現することも示唆した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?