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文献詳細

雑誌文献

精神医学28巻6号

1986年06月発行

文献概要

研究と報告

腎移植における精神医学的諸問題

著者: 尾崎紀夫1 成田善弘2

所属機関: 1名古屋大学医学部精神科 2中京病院精神科

ページ範囲:P.671 - P.677

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 抄録 腎移植を精神医学的見地から調査し,治療的に関わった。対象は中京病院て昭和59年4月から昭和60年6月までに行われた25例の腎移植(生体腎移植:18例,死体腎移値:7例)の被移植者である。結果は25例の被移植者のうち11例が精神症状を呈した。内訳は抑うつ状態が7例,不安・心気・焦燥状態が3例,せん妄状態が1例であった。
 今回の調査から以下のことを考察した。
 (1)従来の報告と比べると抑うつ状態の重症例が少ない。その理由として以下のことが考えられる。①腎摘出を必要とした症例が死体腎移植であった。②腎摘出に際して家族の同伴を行った。③生体腎移植の腎提供者が親に限られていた。(2)透析に対する否定的感情が顕著な症例が多く,腎移値の理想化を引き起こし,同時に抑うつ症状の誘因となっている。(3)移植腎の統合過程は被移植者腎提供者関係に影響される。生体腎移植を契機にして,親子関係の様々な問題が露呈される。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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