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文献詳細

雑誌文献

精神医学28巻6号

1986年06月発行

文献概要

研究と報告

精神科外来を受診した青年期患者の死亡例に関する考察—自殺例を中心に

著者: 生田孝1 清水將之1

所属機関: 1名古屋市立大学精神医学教室

ページ範囲:P.679 - P.685

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 抄録 名古屋市立大学精神科外来を1968年から77年までに受診した十代患者に1983年(全調査対象者が初診後平均で10年6カ月を経過)時点で経過動態調査を保護者へのアンケート用紙郵送法で行い,551名(回収率52%)の回答を得た。そのうち25名が死亡例(全回答の4.5%:男11,女14)であり,これを以下の4群に分けた。①自殺群(11),②病死群(6),③事故死群(3),④死因不明群(5)。これら各症例に遡及的に調査検討を加え以下の結果を得た。1)青年期特有の症状の非定型性,多型性のため診断が転々としている症例が多い。2)当科外来初診時平均年齢16歳死亡時20歳。3)1群の病型分類では,精神病,境界例で82%を占めた。ほぼ全例で抑うつ状態,自殺念慮を示し6例に未遂歴があった。治療期間は平均4年5カ月にも及び,そのうち7例が治療継続中だった。4)④群は,1例を除ぎ通院期間はきわめて短く(数回〜数カ月),その死因は自殺ないし事故死の可能性が少なくない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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