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文献詳細

雑誌文献

精神医学28巻6号

1986年06月発行

文献概要

研究と報告

窒素ガス曝露による“遅発性後無酸素症性脳症”の1例

著者: 小田垣雄二1 大森哲郎1 林下忠行2 浅野裕2

所属機関: 1北海道大学医学部精神医学教室 2市立室蘭総合病院祝津分院

ページ範囲:P.687 - P.694

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 抄録 28歳の男性で,労災事故により低酸素脳症となり重篤な神経精神症状を呈した1例を報告した。事故の状況は,数%の酸素しか含まない窒素ガスに十数分間曝露されたものと推定された。事故直後の意識障害回復後,2〜3週間の“間歇期”を経て意識障害が再燃し,CO中毒における“不全間歇型”に類似の経過をとった。CTでは,当初大脳白質のびまん性低吸収域を認めたが,その後全般性脳萎縮と両側被殻の低吸収域,さらに両側尾状核に低吸収域の出現をみた。脳波は一貫してflat EEGであった。SPECTでは,局所脳血流量は意識障害再燃時には著明に低下していたが,その後の意識清明な時期には改善を示していた。本症例はhypoxic hypoxiaの純粋型と考えられ,その経過はPlumの“遅発性後無酸素症性脳症”に相当するものと考えられた。その特異な経過に焦点を当てて,CO中毒“間歇型”との関係も含め,若干の考察を行った。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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