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文献概要

研究と報告

うつ病者の脳波定量分析による研究—その1.横断的特徴について

著者: 森隆夫1 秋山美紀夫1 遠藤俊吉1 小島大輔1 木村真人1 倉岡幸令1

所属機関: 1日本医科大学精神医学教室

ページ範囲:P.751 - P.755

 抄録 右ききの内因性うつ病者(27例)ならびに正常対照者(12例)の安静閉眼時における脳波を,F. F. T. を用いた脳波基礎律動分析プログラム(easy)を使用して,α-peakの振幅について左右前頭-頭頂の関係を検討した。その結果,PF-INDEX〔(P4,P3-F4,F3/P4,P3+F4,F3)×100〕は,左右ともうつ病者群と正常対照者群の間に有意な差を示し,とくにうつ病者群の劣位半球側においては,頭頂部に比し前頭部のα-peakの振幅が明らかに高い(P<0.02)。左頭頂部を基準とした相対的比較を行うと,うつ病者群は正常対照者群に比し,左右前頭部の振幅は高く,とくに右前頭部において著明に高く,右頭頂部の振幅が低いというバランスの移動がみられた。このことから,左右前頭-頭頂の相対的関係において,うつ病が大脳半球とくに劣位半球における何らかの特殊な状態にある可能性が示唆された。

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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