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文献詳細

雑誌文献

精神医学28巻9号

1986年09月発行

文献概要

研究と報告

いわゆるマタニティブルーの調査—その1.出現頻度と臨床像

著者: 池本桂子1 飯田英晴1 菊地寿奈美1 高橋三郎1 高橋清久2

所属機関: 1滋賀医科大学精神医学教室 2国立武蔵療養所神経センター

ページ範囲:P.1011 - P.1018

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 抄録 いわゆるマタニティブルーの頻度,臨床像を明らかにするために,Zung自己評定式抑うつ尺度(ZSDS)を含む多面的な質問表を作成し,近畿地区在住の1,047名の産婦を対象に産後3〜4日目に調査を行った。対照群として,大学生女子290名について同じ質問表で調査した。ZSDSの尺度構成に変更を加えたため,産婦,対照群学生ともに,ZSDSの平均は従来報告されてきた正常者の平均より約10点低い26点であった。対照群学生のZSDSの平均+2SDの36点以上を高得点群とすると,68名(6.5%)がこれに含まれた。したがって,マタニティブルーの頻度は,従来報告されているような高い出現頻度ではなく,10%以下と考えられる。症状項目別に産婦と対照群を比較すると,産婦では心理的抑うつが少なく身体的症状や子供への憂慮が強かった。高得点群で重回帰分析を行うと,マタニティブルーの症状特徴は,てい泣,疲労感,体重減少,自己過少評価,精神運動制止,動悸であった。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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