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文献詳細

雑誌文献

精神医学28巻9号

1986年09月発行

文献概要

研究と報告

熱性けいれん同胞例の研究—症状の類似と非類似

著者: 永山格12 坪井孝幸1 遠藤俊一1

所属機関: 1東京都神経科学総合研究所社会医学研究部遺伝学研究室 2現在:熊本大学医学部遺伝医学研究施設遺伝疫学部門

ページ範囲:P.1037 - P.1047

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 抄録 熱性けいれん(FC)の発病や症状に及ぼす影響を遣伝と環境の両側面から,FC同胞例(発端児256,同胞285,組合せ294組)についてしらべた。1)近親者におけるFC罹病率は一般集団の2〜3倍を示した(同胞24%〉両親16%,p<0.001)。2)発端児と罹病同胞との間には,FC初発月齢,外的環境要因の有無,熱発の程度,初回および反復脳波検査における基礎律動異常と反復検査における発作性異常の6徴候について高い一致率(64〜87%)と,有意の相関(r=+0.221〜+0.434,p<0.05〜0.001)が認められた。3)FC反復回数,3歳以後の再発には有意の相関が認められなかった。4)以上は,一般集団のFC同胞例における結果と類似し,発病や症状に及ぼす遺伝要因の関与を示すと推測される。5)FC同胞間の症状の類似度には発端児の性による差(発端男児のみに,初発月齢,外的環境要因,初回脳波検査での基礎律動異常の3徴候に有意の相関)が認められた。6)発端児の症状の正確な把握が,同胞の発病や予後の予測に有用であろうと結論した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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