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雑誌詳細

文献概要

研究と報告

経過中にせん妄状態と大発作を呈した進行性全身性硬化症の1例

著者: 小泉典章1 田中恒孝1 融道男1 河内繁雄2

所属機関: 1信州大学医学部精神医学教室 2信州大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.1055 - P.1060

 抄録 精神症状,全汎性強直性間代性けいれん発作とてんかん性脳波異常を示した進行性全身性硬化症(PSS)の1症例について報告した。患者は31歳の主婦で,Raynaud現象と手指の小潰瘍をもって初発し,漸次皮膚の硬化をきたし,臨床症状と皮膚生検の結果からPSSの診断が確定した。その後,全身倦怠感や食欲不振を訴え,易怒性,攻撃性などの情動不穏もみられた。1年後,発熱,体重減少,血沈の亢進や抗核抗体強陽性,補体価の減少,γ-グロブリンの高値など免疫学的所見の増悪を示し,意識障害(主にせん妄状態)を呈するようになった。さらに1週間後には全身けいれん発作を起こし,その時に記録した脳波はθ波と速いα波の背景活動と右側頭前部に焦点性棘波を示した。prednisoloneとclonazepamの投与により身体症状と平行して精神症状も改善した。以上の臨床症状,検査所見,臨床経過をもとに,PSSによる症状精神病ならびに脳波異常について考察した。

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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