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文献詳細

雑誌文献

精神医学28巻9号

1986年09月発行

古典紹介

M. Lewandowsky—閉眼失行について/J. Zutt—閉眼状態を保つことの不能,閉眼失行かあるいは強迫凝視か?—第2回—

著者: 大橋博司1

所属機関: 1国立京都病院病院

ページ範囲:P.1071 - P.1078

文献概要

 ここで問題となる3例のすべてに共通する点は,閉眼の不能,ないし短時間閉眼できてもこの閉眼状態を維持することの不能であり,これはLewandowskyがはじめて彼の64歳の左片麻痺の男性患者において「閉眼失行」“Apraxie des Lidschlusses”として記載したものである。Schilderの論文を除けば,この症状は時たま言及されてはいるものの,あまり注意を惹いていない。私は,これはしばしば見逃されている可能性があると考える。ある患者が命令に応じて閉眼することにすぐ成功せず,あるいは直ちに開眼してしまうような場合,ひとはよくあるように些細な不注意か表情の不器用さだと思うかも知れぬ。そんなときには検査のルーチンに従って,二本の指で眼を受動的に閉じられてしまう。
 ところで私には,失行という名称はこの場合は正しくないし,またおそらくこの名称が用いられたのは,この症状が多くの場合見過ごされてきたからだ,と思われる。というのもその他の失行症状が欠如した場合,検者の注意がそこに向けられなかったからである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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