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文献詳細

雑誌文献

精神医学29巻1号

1987年01月発行

文献概要

特集 老年精神医学

老年期精神障害の疫学

著者: 柄澤昭秀1

所属機関: 1東京都老人総合研究所心理・精神医学部

ページ範囲:P.35 - P.46

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I.はじめに
 老年期は精神障害の有病率が高い。このことは人口分布の高齢化に伴って,精神障害老人の実数が確実に増加することを意味する。この現実に適切に対処していくためには,何よりも先ず実態を正しく把握して,その科学的分析を行うことが必要であり,これは疫学的研究に期待されるところが大きい。しかし,精神医学領域では疫学的調査研究の遂行に多くの制約や困難が伴うため,その期待に応えられるほど十分な成果がまだ挙げられていない。老年期にみられる精神障害の中では,痴呆に関するデータは比較的多いのであるが,機能性疾患に関してはまだデータが僅かしかない。このような現状であるが,今この領域において,どの程度のことがわかっており,どんなことが今後の課題として残されているかを明らかにしておくことは決して無駄でないであろう。疫学として取り上げるべき領域は広いが,そのすべてに言及することは出来ない。その一部は他に述べたこともあるのでここでは問題を主として,老年期精神障害の有病率注1)と発生率注2)ということに絞り,これまでの研究成果の概要を述べる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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