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文献詳細

雑誌文献

精神医学29巻1号

1987年01月発行

文献概要

研究と報告

アルコール症にみられた慢性硬膜下血腫について

著者: 赤井淳一郎1 樋口進1 村松太郎1 村岡英雄1 高木敏1 小池祐治2

所属機関: 1国立療養所久里浜病院 2横須賀市立市民病院脳神経外科

ページ範囲:P.105 - P.109

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 抄録 アルコール症にみられた慢性硬膜下血腫について,国療久里浜病院の過去3年間の入院患患における経験をもとに検討した。頭部CTスキャン検査が行われた1,584名(入院患者数の約73%)中,10名が慢性硬膜下血腫と診断された。いずれも男性で,平均年齢は53歳。大半は20年以上の酒歴をもつ。病歴中,外傷の既往が明らかなものは少なく,確診後も4名は不明であった。神経症候は多様で,一定したものはなかった。脳波上も特異的なものなし。自験例のすべてがCTスキャン検査で発見されたものであり,中線構造の健側への変位が4例みられた。血腫洗滌除去術は8名で施行され,いずれも全治あるいは軽快した。
 病歴,神経症候,脳波所見などからは,発生の予知ができないことを述べ,疾患の予後を考えた場合,アルコール症の入院時の頭部CTスキャン検査が重要であることを強調した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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