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文献詳細

雑誌文献

精神医学29巻10号

1987年10月発行

文献概要

研究と報告

晩発単極性うつ病の慢性化についての一試論

著者: 高井昭裕1 植木啓文1 児玉佳也1 曽根啓一1

所属機関: 1岐阜大学医学部神経精神医学教室

ページ範囲:P.1033 - P.1039

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 抄録 近年うつ病の軽症化および頻度の増加と並んで治療抵抗性または慢性ないし遷延性うつ病の増加が指摘されている。我々は単極性うつ病慢性化例を対象とし,臨床例を通してその成因論,症状論,治療論につき若干の考察を試みた。
 我々は,慢性化,遷延化の病態が如何であれ,人格構造と状況構造の内的関連を重要視し,〈過剰負荷遂行型〉と〈過剰不安反応型〉の2類型をとり出した。前者の患者は周囲からの要請に対し完全主義的,強迫的に答えようとし,能力以上の負荷を自らに強いる結果,慢性化,遷延化に至るものである。従って,治療上環境調整が重要となる。後者では猜疑的,神経質的に身体症状,薬物副作用にこだわることが慢性化,遷延化に大きく関与していると考えられ,従って,現実に焦点を合わせた長期にわたる精神療法が重要となろう。またいずれの場合も,感情よりも意欲の障害がめだっていた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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