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文献詳細

雑誌文献

精神医学29巻10号

1987年10月発行

文献概要

研究と報告

精神分裂病の1症例にみられた幻視について

著者: 村木彰12 三好直基3 笠原敏彦12

所属機関: 1北海道大学医学部精神医学教室 2現所属:市立旭川病院精神神経科 3市立釧路総合病院精神神経科

ページ範囲:P.1067 - P.1071

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 抄録 幻視を主症状とする精神分裂病の1症例について検討を加えた。精神分裂病の幻視症状は,これまで主に客観的な外部空間に出現するものに限定して論じられる傾向にあったが,本症例の幻視は,「頭の中」という内部空間に定位すると同時に,患者が「映画やテレビを見ているのと同じようにはっきりみえる」と述べるほどの非常に強い明瞭性と実体性を有し,患者の精神内界に圧倒的支配性を示した。また,本症例では,幻視とそれに対応した幻聴が同時に出現するという両者の密接な関連が認められた。これらのことは,分裂病の幻覚を論ずる上で,幻視もまた幻聴と同様に臨床的に重視すべき症状であり,中には外部空間のみならず内部空間に定位される場合もありうることを示していると考えた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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