文献詳細
短報
幻嗅を呈したパーキンソン病症例
著者: 堀口淳1 稲見康司2 西松央一1 柿本泰男1
所属機関: 1愛媛大学医学部神経精神医学教室 2秋田大学医学部神経精神医学教室
ページ範囲:P.1233 - P.1235
文献概要
抗パーキンソン病薬で治療中のパーキンソン病患者に,幻視を中心とする幻覚体験が高頻度に出現することはよく知られた事実である。著者らはこれまでに多数例のパーキンソン病患者におけるこれらの幻覚体験の有無や内容を詳細に検討し,その特徴や痴呆との関連あるいは治療法などについて一連の研究報告2〜9,16,17)を行ってきた。出現する幻覚の中ではヒトや小動物などの幻視を呈するものが多く,時に幻聴を呈する患者もあり,さらに特異なものとして,症状論上幻覚と妄想との間に位置付けられ得る実体的意識性(Jaspers, K.)などがしばしば観察される。
今回著者らは抗パーキンソン病薬で治療中に幻嗅を呈した特発性パーキンソン病患者を経験した。著者らがこれまでに治療した155例のうち幻嗅を呈した患者は本症例が始めてであり,さらに著者らの調べ得た限りでの報告例は4例11〜13,15)のみであり,貴重な症例と考えられるので報告する。
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